不注意傾向のある発達障害の子供と向き合う親のための処方箋

「先生の話を最後まで聞けない」「何でもすぐ気が散ってしまう」「宿題や持ち物を忘れることが多い」――こんな様子に、あなたは心を痛めていませんか?
お子さんの「不注意」の背景には、単なる怠けや集中力不足ではなく、発達障害の可能性が潜んでいることもあります。実際、「発達障害=多動」のイメージに隠れて、見過ごされがちな“集中できないタイプ”の子どもたちが数多く存在します。
本記事では、そんな「注意散漫」「記憶がうまく定着しない」などの傾向を抱えるお子さんと、日常生活や学校で親がどのように寄り添い、支援できるのかを、丁寧に解説していきます。
「なぜうちの子だけ?」と悩む前に、まずは理解を深め、できることから一歩ずつ始めていきましょう。お子さんとの日々に、きっと役立つヒントが見つかります。

不注意(注意欠陥多動症)の正体ーADHDとの関係

意思が弱いわけじゃない!脳の働きの違い

不注意(注意欠陥多動症)は「やる気がない」「頑張っていない」のではなく、「脳の情報処理がちょっと苦手」なことが原因です。ADHDは発達障害の一種で、特に脳の前頭前野(集中や計画をつかさどる部分)の働きが弱いとされています。

エグゼクティブ機能が苦手

エグゼクティブ機能とは、「脳の指令塔」のような働きです:
• 作業記憶:今やるべきことを覚える
• 切り替え:今していることから次のことに移る
• 抑制:余計なことを考えずにガマンする
ADHDの子どもはこれが苦手で、以下のようなことが起こりやすい傾向にあります。
• 長く集中が続かず宿題が途中で止まる
• 気になる音で簡単に注意が散る
• 突然違うことを始めてしまう

興味がないことには特に苦手

ADHDの子供は、面白いことには集中できる反面、つまらないことにはすごく苦手です。これは「普通の集中」と「自分が興味持ったときの集中」の差が大きいためで、この状態は「ハイパー・フォーカス(超集中)」とも呼ばれます 。

なぜそんなことが起こるのか?

ADHDの人は、脳の「注意を切り替えるギア」がうまく動きにくい状態にあります。また、普段はドーパミン(やる気を出す物質)が少ないため、興味のないことには集中しにくい反面、好きなことには集中しやすくなります 。
脳の中でも、注意をつかさどる場所と「報酬中枢(がんばったときに喜びを感じる場所)」が強くつながっていて、それがハイパー・フォーカスの速さや深さを生んでいると考えられています。

ハイパー・フォーカスの良いところ

• すごく集中力が高い → 短い時間で大量に勉強したり、作品を完成させられる
• クリエイティブに強い → 独特なアイデアや発想力が発揮されることがある
• ストレス下で逆に力を発揮することも → 緊張感があるほど、「やらなきゃ!」という気持ちが集中力に変わることも

ハイパー・フォーカスの注意点

・切り替えが難しい:夕飯や宿題の時間になっても、気づかずに続けてしまう
・自己管理がおろそかに:ご飯を食べなかったり、寝る時間を忘れてしまうことも
・社会や身体への影響:友達との時間や生活リズムが狂い、体調を崩してしまうことも

不注意(注意欠如多動症)の子供との上手な付き合い方

◎時間を区切る
タイマーをかけて「○分でこれをやろう」と目安を作る。
◎環境を整える
目に入るものを整理したり、静かな場所で集中する。
◎ 一緒に決める
「遊んでいいのは宿題が終わってから」など、親子で約束事を決めると理解しやすい。
◎感謝と共感を伝える
「その集中力すごいね!でもちょっと休憩しようか」と、能力を認めつつ促してあげる。
◎得意なことを伸ばす
自分が好きな分野(絵、音楽、科学など)でハイパー・フォーカスを活かしてみよう。

「忘れっぽい」「落とし物が多い」も不注意(注意欠如多動症)の一部

「宿題を忘れる」「筆箱やスマホをどこかに置いたままにする」などは、小さなことに見えて、実は脳の「注意を保つ力」が弱いサイン。ADHDの子供にはとてもよく見られる特徴です 。苦手な脳の働きが「どう足りないか」を知れば、対策もできます。

「足りない」のは脳のどこ?

作業記憶(ワーキング・メモリ)が弱い
• 作業記憶とは、「今やっていることを頭の中で一時的に覚えておく力」です。これが弱いと、「今から◯◯をする」という予定をうっかり忘れてしまいます。
注意のコントロールが苦手
• 興味のない単純なことには注意を向け続けられず、途中で気が散ってしまい、結果的に忘れてしまうのです。
実行機能(エグゼクティブ機能)が弱い
• 計画・整理・優先順位を決めて動くこと(=実行機能)が苦手なため、例えば宿題や筆箱の置き場所を決めても、忘れずに守ることが難しいのです。
物が目に見えなくなると忘れる(対象持続性の弱さ)
• “物は見えなくなると存在しない”と脳が錯覚しやすくなるため、スマホや筆箱を置き忘れやすい傾向があります。

「忘れっぽい」「落とし物が多い」不注意(注意欠如多動症)の対策法

  1. 「出発点」をはっきり決める
    o 玄関などに鍵・筆箱・スマホを置く“置き場”を作る。
  2. その場に「見える」収納を使う
    o クリアBOXやオープン棚に入れることで、見逃しを防ぎます 。
  3. リマインダーを活用
    o ポストイット、スマホアラーム、ホワイトボードなど、視覚的な「思い出し装置」を置く。
  4. タイマーやルーチンで気持ちを切り替える
    o タイマーをセットして、「◯分経ったら移動する」と体と言葉に知らせる習慣をつける
  5. 「ブレイン・ダンプ」で頭を整理
    o 紙やノートに思っていること全部を書き出して思考を整理するテクニックです。
  6. 実行機能を鍛える(トレーニングや運動)
    o 作業記憶トレーニングや遊び・運動を取り入れることで、注意力・記憶力が改善する可能性があります。
  7. 「ダブルチェック」:誰かと一緒に持ち物確認
    o 家族や友だちと一緒に準備を行うと、忘れ物が減ります。
  8. マインドフルネスや瞑想
    o 呼吸に意識を向ける練習をすると、注意の維持力が高まり、忘れがちな状況改善に役立ちます 。
  9. 自分を責めない・工夫を褒める
    o 忘れ物をしても「ADHDのせい」と理解してフォローする。うまくできた習慣を積極的に褒めることで、自己肯定感を育てます。

これらの方法は、子ども本人が「自分に合った方法だな」と感じられるよう、親子で少しずつ取り入れていくのがコツです。

不注意(注意欠如多動症)の子供の親が抱える葛藤とケアについて

• 「また忘れてる」と思いながら何度も伝える
• 宿題や持ち物の不備に学校から連絡が来る
• やる気がないように見えてどう対応すべきか悩む
こうした状況下で「責め」と「罪悪感」が交互に襲ってくるのは自然なこと。でも、大切なのは「できたこと」に目を向け、比べる相手を「昨日の我が子」に切り替えることです。

ケア①「目に見える仕組み」を作る

不注意傾向のある子どもは頭の中で情報を整理するのが苦手。そこで視覚的なチェックリストやタイマーを使ったスケジュール化が効果的です。
例:朝の準備チェックシート、タイマーで区切る勉強法、やる→終わる→提出まで見える化

ケア②「小さな達成」を積み重ねる

最初から長時間に挑むと失敗体験が増えるため、
• 「まず5分だけ机に向かう」
• 「問題を1問解く」
• 「一区切り終えたら休憩」
といった小さな成功を積み重ねることで、やる気や自己肯定感が高まります。

ケア③「刺激を減らす」環境整備

不注意の子どもは視覚・聴覚刺激に影響を受けやすいため、勉強中はテレビ・ラジオを消し、壁の装飾や机の上も整理整頓をする。静かで余計な情報のない環境が集中力を高めます。

ケア④「焦らない・比べない・見守る」姿勢

「〇〇ちゃんはできているのに…」と焦る気持ちはわかりますが、その焦りは子どもにも伝染します。「昨日より少しできた」を積み重ねる視点が親子をラクにします。

フランス式耳介療法(耳つぼ)で不注意(注意欠如多動症)が改善する症例も

フランス式耳介療法(オーリキュロセラピー)の科学的背景

起源と理論(ポール・ノジエ博士)

1950年代、フランスの神経学者ポール・ノジエ博士が耳を「全身の縮図」として体系化。耳介療法はWHOにも「医療的自然療法」として認められています。
ポール・ノジェ博士について詳しい記事はこちら

自律神経や迷走神経への作用メカニズム

耳介にはリラックス・集中を司る迷走神経の反射区(ツボ)が集まっており、やさしい刺激が自律神経バランスを整えるとされています。
最新の臨床試験では、耳介療法が睡眠の質を改善する効果も確認されています。

家庭での耳介療法の実践ポイント

不注意(注意欠如多動症)に効果的な耳つぼの位置

神門のツボ・・・ストレス、緊張、不安、不眠、痛みに効果的、精神を落ち着ける
扁桃体のツボ・・・行動や精神状態を制御する脳の領域に影響を与える
前頭葉のツボ・・・集中力と抑制力に関与

フランス式耳介療法(耳つぼ)は痛みがなく、子供も受け入れやすいのが特徴です。耳つぼ探索機で不調箇所を探し、耳つぼシールを貼るだけ。フランス式耳介療法講座を受講すると、自宅でいつでもお子さんに施術をしてあげられるようになります。

まとめ:親子で育む「その子らしい集中力」

不注意(注意欠如多動症)は「特性」であり、能力の欠如ではありません。周囲の理解と支援が大切となります。チェックリストや小さなステップ、環境調整などのサポートで改善されるケースがあります。粘り強く見守る姿勢が親子の安心感を生むことになるでしょう。
また、自然療法のフランス式耳介療法(耳つぼ)は研究の蓄積もあり補完的アプローチとして注目されています。

《監修者》この記事を書いた人

ドクターノジェとジャパンセラピスト代表理事の田中

田中 幸恵
一般社団法人ジャパンセラピスト検定機構代表理事
耳介療法士・心理カウンセラー・夫婦カウンセラー
国際耳介療法学会会員
耳つぼの講師

カウンセリング歴21年。
2014年に耳介療法の元祖Dr.ポール・ノジェの子息であるDr.ラファイエル・ノジェ(現在国際耳介療法学会 CEO)より直々に耳介療法を学ぶ。耳の不思議さと奥深さに魅せられ、もっと多くの方に広めたいという想いから、今まで学んでいた中国式耳つぼ療法とフランス式耳つぼ療法を融合した独自メゾット「新フランス式オリキュロセラピー」を完成。
ご家族や大切な人の健康に貢献したい方、セラピストとしてさらに結果を出したい方に「耳つぼ療法」を通してミラクルを起こすお手伝いをしている。

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