健康のために野菜をたくさん食べる人は多いと思います。しかし、栄養価の高い部位を捨ててしまっては、栄養を摂れていないようなもの。野菜は丸ごと使わないともったいないのです。
今回は、野菜の栄養を逃さない調理のコツと栄養を効率よくとる方法について解説していきます。
この記事の目次
野菜の栄養価が減っている理由
野菜の栄養価は、数十年前と比べて減少しているといいます。その理由は、大量生産により土壌がやせて吸収できる栄養分が減ったこと、品種改良で苦みや甘みが調整されてきたこと、地球温暖化による気候変化などが挙げられます。
例えば、ブロッコリー100gあたりのカリウム含有量は、22年の間に53.4%減ったという報告があります。
日本人の栄養不足問題
そんな中、日本人の栄養不足は深刻です。鉄分は、コロナ後の調査で成人女性の8割近くが不足していることが判明。他にも食物繊維、カルシウム、ビタミンD、タンパク質など、現代人に足りない栄養素は多く、食生活が問題視されています。
その背景には、食事の欧米化が進み、主食が白米やパンになったこと、昔より雑穀類を食べなくなったことがが関係しています。また、魚の摂取量が減った上に、鉄分の多い魚の皮や血合いが捨てられることも要因となっています。
野菜の栄養を逃さない3原則
①丸ごと使う
葉や皮、根、茎など、捨ててしまう部位に大事な栄養素が凝縮しています。硬い部位は細かく切って調理するなど、捨てずにまるごと使うのが基本です。
②短時間で調理する
野菜は長時間加熱すると、栄養素が大幅にダウンしてしまいます。短時間の調理を心がけて、栄養素が流出しないように切ったらできるだけ早く食べるのがポイントです。
③加熱はさっと低音で
高温でグツグツ煮込んだり炒めたりすると、栄養がロスしてしまいます。加熱する時は、蒸したりレンチンを活用して、さっと低音で調理するようにしましょう。
野菜の栄養を逃さない調理のコツ
それでは、食材ごとに栄養を逃さない調理法を紹介していきます。
長ねぎ
長ねぎの先端の緑の部位はβカロテンが多く、その量は白い部位の18倍です。また、ビタミンKやビタミンCも先端に多く含まれています。白い根本は、先端の5倍の甘みがあり風邪予防にもなります。
〈調理・食べ方のコツ〉
ビタミンCは加熱に弱いため、生で食べるのがベスト。白い部位に多い硫化アリルは細かく切ると活性化するので、みじん切りに。
キャベツ
外側の葉は日光を浴びて最も栄養素を貯蔵しています。1~3枚目までは、内側の1.5倍のビタミンC、8割のビタミンAが含まれるため、ミネラル豊富な芯と一緒に細かく刻んで汁物などに活用しましょう。
〈調理・食べ方のコツ〉
長時間水にさらしたり茹でたりすると、水溶性ビタミンが流出。レンチンや蒸し料理なら、ビタミンCのロスを最小限に抑えられます。
ブロッコリー
茎にビタミンUが最も多く、胃腸にいいキャベジンやビタミンCも豊富です。茎に深さ1㎝程度の切り目を入れ、ラップで包んで電子レンジで1分加熱すると、硬い部分がぐるっとむけます。
〈調理・食べ方のコツ〉
水溶性ビタミンの多いブロッコリーは茹でると栄養をロス。ビタミンCやがん抑制成分スルフォラファンをキープするなら蒸し調理を。
にんじん
皮付近のβカロテンは中心部の2.5倍、ポリフェノールも4倍の量を含有しています。ピーラーで皮をむくと、それらの栄養素が損失してしまいます。抗酸化力をキープするには、むかずにそのまま調理しましょう。
〈調理・食べ方のコツ〉
βカロテンは油に溶ける脂溶性ビタミン。油で炒める、オイルドレッシングやマヨネーズで食べるなど、油と一緒にとると吸収率がアップします。
小松菜
捨てることもある根本は、葉よりもミネラルが豊富で、成長に関わる栄養素を蓄えている貴重な部位です。下から十字の切り込みを入れて砂を洗い落とし、細かく切れば食べられます。
〈調理・食べ方のコツ〉
洗ってラップで包み冷凍保存すると、栄養価はほぼ変わらない上に長持ちします。加熱する際は、油と一緒に炒めてビタミンを吸収しましょう。
玉ねぎ
抗酸化力の強いケルセチンというポリフェノールが多く、その9割が皮にあります。皮を洗って煮ると、黄金色のだしが完成し、汁物に活用できます。栄養豊富な根もみじん切りにして調理するようにしましょう。
〈調理・食べ方のコツ〉
細かく刻むと、血液サラサラ効果のあるアリシンがアップ。アリシンを100%摂取するなら生、加熱するなら短時間で炒めるのがおすすめです。
かぼちゃ
日光が当たる皮はポリフェノールなどの抗酸化成分が多い上、βカロテンは果肉の約3倍量を持ちます。皮やミネラル豊富なワタも一緒に調理して栄養を丸ごと摂取しましょう。
〈調理・食べ方のコツ〉
レンチンならβカロテンやビタミンCをほぼ100%キープできます。火を使う場合、切ったかぼちゃをザルにのせたフライパン蒸しが手軽です。
れんこん
黒くなるため剥くことが多いれんこんの皮はポリフェノールの宝庫です。実の2倍含まれているため、剥かずに調理するのがお得。節には5倍のポリフェノール量があります。
〈調理・食べ方のコツ〉
ポリフェノールが流出するため、水にさらしアク抜きするのはNG。薄切りかすりおろしにして生で食べれば抗酸化力をキープできます。
きのこ
切るのは、石づきの黒く硬い部分だけにしましょう。しいたけの軸には全体の約6割のアミノ酸が含まれ、捨てるとうまみ成分を損失します。えのきやしめじも、石づきのギリギリでカットして調理を。
〈調理・食べ方のコツ〉
冷凍して細胞を壊すと、うまみ成分のグアニル酸が活性します。特にえのきは冷凍するとダイエットに効果的なキノコキトサンが12倍になります。
魚
魚の血合いや皮は、身体にいい油の不飽和脂肪酸DHA・EPAが身よりもはるかに多く、鉄分も凝縮されています。特に血合いは、脂肪が少なく高タンパク質なため、残さずに食べましょう。
〈調理・食べ方のコツ〉
魚焼きグリルではなく、フライパンで焼いて落ちた魚の脂をソースに活用するとDHA・EPAを取りこぼさず摂取できます。
エビ
エビの赤色はアスタキサンチンという抗酸化成分です。頭にはタウリンが身の2倍、カルシウムや鉄分も多く、捨てるのはもったいない。みそ汁にいれてだしを取るか、揚げてサクサク食べるのもおすすめです。
〈調理・食べ方のコツ〉
頭と殻は水分が抜けるまでフライパンで炒ったあと、フードプロセッサーでパウダー状にすると、うまみと栄養が詰まったふりかけになります。
まとめ
年齢とともに吸収率が下がる栄養素があり、特に更年期以降はカルシウム不足になりやすく、骨粗鬆症のリスクが上がります。筋力低下も避けられません。
昔より効率よく栄養をとる重要性も高まるため、食材は隅々まで使い、栄養を取りこぼさず食べて健康な身体を維持しましょう。
この記事へのコメントはありません。